ナントカの一つ覚えでまた作ってしまった。
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しかし、同じものを作ってもしょうがないので。
いくつかの改善と合理化を進めることにする。
  1. 電源を24Vから15Vに変更し、出力のカップリングコンデンサーを、耐圧の低いものを使えるようにして容量を稼ぎ、低音の聴感を向上させる(前回まではライン出力も視野に入れてに入れて回路を検討していたがヘッドフォン専用に割り切る)。
  2. 初段の負荷抵抗を3kから2kに下げ、高周波特性を改善しつつ、ゲインを調整する。
  3. 出力のトランジスタをメイン基板内に集約しての手間を減らす。

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前回から変わった所は、・・・
  • 電源電圧が変わったので入力トランジスタのバイアス抵抗を1.2Mから680kに
  • 負荷抵抗を3kから2kに
  • 出力のカップリングコンデンサーを25V4700μF✕4から16V3300μF✕10に(上の回路図では8個だが実際には、下の方に有るの写真の様に縦に5個づつ、片ch計10個並んでいる)
  • 帰還抵抗
上の回路図では定数以外は前回とさほど変わっていないが入力トランジスタのバイアス抵抗値が大きく変わっている。
こいつの決定は、ちょっとコツがいる。
と言うのは、回路図中央に有るQ5のコレクターに定電流回路としての動作に必要な電圧(アース電位から見て2V程度)が必要だ。
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その為には、Q1とQ2のバイアス抵抗を↑の回路図の赤字で示した電圧になるようにすればよいのだが、Q1Q2のHfeの個体差や帰還抵抗R14の値などに影響される為、バイアス抵抗R3を・・・

欲しいR3の両端電圧 ÷ Q1のベース電流 

この計算で出した値にすると定電流回路に掛かる電圧がかなり余計に下がってしまう。
なので、R3の決定は実験して決めたほうが早いと思う。_:(´ཀ`」∠):_
といってもYランクの2SC1815を使う限りにおいては、500kから1MΩ程度に落ち着くはずである。 
部品に関してはそれほど珍しい部品は、使っていないが入力のカップリングコンデンサC1とC2は、低音の再生能力に影響しない様に、2.2μFとカップリング用としては比較的大きな容量のものを使っている。

50Vから100V程度の耐圧で、この程度の容量のフイルムコンデンサーは、オーディオ用を騙る、やたらとゴツくて、下品なデザインで値段の高いコンデンサを使うハメになる事が多いが、aitendoで見つけた、これが普通の大きさで手頃な価格なので、今回はコレを使うことにした。

出力バッファの2SC4495秋月で入手可能だ。
耐圧は低いが、他にないくらい、hfeが大きくA級バッファに向いている貴重なパワトラだ。
この簡単な回路で実用上問題ないくらいの歪率に追い込めるのは、2SC4495の性能に依る所が大きい。
無くなりゃしないか心配な部品だ。

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ケース

今回は一枚の基板に出力のパワトラを載せることにしたので、ささやかながらヒートシンクを付けて、ケースに通風口を開けることにした。
(パワトラが人肌程度に温まる程度だが念の為だ)

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加工は、小型のボール盤を使っている。
一見、大げさなようだが使ってみると、穴あけ作業の効率と精度が、手で持つ電ドリとは、ぜんぜん違う。
とにかく、楽に綺麗に開くので助かる。

で、通風口の加工は被加工物にA4全面ラベル用紙に、CADソフトで方眼を印刷して貼り付け方眼を目安に等間隔に開けた。
こうすると罫書き線を書く手間が省けて且つ、被加工物が傷つくのを防ぐことができる。

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できた。
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測ってみる。

まず、帰還前のゲインは22倍、上記回路図の定数で帰還をかけた結果、仕上がりゲインは2.6倍になった。

周波数特性の計測はいつも通り信号源50Ω、アンプのボリュームは最大、出力電圧は4Vppで66Ωの抵抗負荷で観測した。
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クリックすると大きくなります。

6db落ちが7MHzを少し超えている。
素晴らしい数値だ。
強めに帰還をかけたおかげだろう。

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立ち上がり、立ち下がり共に、今までブログに載せたものの中では一番よい数値。

・測定系 オーディオI/F M-AUDIO FAST TRACK PRO
・測定ソフト efu氏作成WaveSpectra (http://www.ne.jp/asahi/fa/efu/)
(歪の測定限界は0.005%程度、上限周波数は40kHz)
以下は、66Ω若しくは33Ωの抵抗負荷で測定。
特に記載のないデータは差動信号を入力

まず、コレは、うっかり前々回より過大な出力(66Ω4Vpp)で測ってしまった。
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66Ω負荷4Vpp出力時
上から・・ 
63Hz 0.059%
1kHz 0.032%
16kHz 0.032%

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66Ω負荷2Vpp出力時

63Hz 0.007%
1kHz 0.003%
16kHz 0.008%

64Ωのヘッドフォンに必要な最大出力付近では無いかと思う。
ほぼ、測定限界。
前々回の同条件が・・

63Hz 0.0079%
1kHz 0.0045%
16kHz 0.0094%

なのでほんの少し良くなった程度の変化だ。
出力のカップリングコンデンサーの容量がかなり増えているが、63Hzの歪率には、さほど影響はしない様だ。
1Hz以下でないと影響は観測できないかも。

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33Ω抵抗負荷2Vpp出力時
63Hz 0.037%
1kHz 0.019%
16kHz 0.018%

前々回は・・・
63Hz 0.067%
1kHz 0.036%
16kHz0.037%
3波共に前々回の同じ条件の約半分の歪率
強めの帰還の賜物だ。

アンバランス信号だと・・・

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66Ω抵抗負荷4Vpp出力時
63Hz 0.082%
1kHz 0.050%
16kHz 0.065%
バランス信号入力時より1.5倍から2倍程度悪化するが、無視できる差だと思う。

3波ともに100db超え!!

バランス信号入力での測定だ。
アンバランス信号入力でも、16kHzで91dbになった以外は変わらず。
実に優秀。
コレも入念に帰還をかけたおかげかも。

聴いてみた。

特性が一段良くなったので、コレまでの三作と聞き分けられるかと言われたら、それはどうかなと言う感じ。
しかし、音の粒立ちは今までより良くなった。
低音の定位の良さはバランスアンプ全般の持ち味だが、それに加えてスネアドラムなどの「軽低音」の迫力はこのアンプの特徴かと思う。
期待していた、低音の量感は前回とさほど変わらない。
カップリングコンデンサーの容量的にはもう十分と言うことの様だ。
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